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2010年10月 アーカイブ

アメリカの経済事情 7

こうした通貨変動の中で、これまでのアジアNICsの輸出増加の背景であった賃金水準の動向にも変化が生じています。


86年の製造業賃金は、ドル建の比較では韓国、台湾が日本に比べ約1/5程度であり、アセアンに属するタイでは日本の約1/12程度でした。


87年の各国通貨建でみた賃金上昇率は、日本が微増であったのに対して、韓国、台湾では各々11.6%増、9.7%増と比較的高い伸びでした。


しかし、ドル建では前述のような為替動向から、台湾が約30%の上昇となり、韓国は日本とほぼ同程度の約20%の上昇となりました。


また、タイでは韓国、台湾より賃金上昇率は低かったとみられ、タイ・バーツの対ドルレート上昇も小幅(87年4.2%)であったことから、ドル建賃金でも韓国、台湾より低い上昇率にとどまったと考えられます。


この結果、ドル建賃金は、日本と台湾間では若干縮小したものの、韓国との格差は縮小しませんでした。


また、タイとの比較では、韓国、台湾とも拡大したとみられます。


次に、生産性をも考慮した単位労働コストの推移をみると、81年以降87年に至るまで、自国通貨建では台湾が最も高く、次いで日本、韓国となっています。


賃金上昇率は韓国が台湾をわずかに上回っているものの両者に大差はなく、むしろ生産性に差があります。

アメリカの経済事情 8

韓国、台湾とも生産性は着実に高まっていますが、韓国の方が台湾に比べ上昇率は大幅なものとなっています。


こうしたことから単位労働コ、ストは、台湾で高く、韓国で低いものとなっています。


しかし、為替を考慮した単位労働コストでは様相は大きく変化し、韓国では自国通貨建で80年以降ほぼ横ばいもしくはわずかな上昇であったものが、ドル建では逆に大幅な下落となり、為替調整が進展した87年にも若干の上昇にとどまりました。


台湾では上昇率は低いものの、上昇基調となっており、87年にはかなりの上昇となりました。


これに対して日本では86、87年と円高を背景として大幅な上昇となりました。


このように、為替変動の中でアジアNICsの労働コストは日本に比べて相対的に有利化し、輸出の大幅増加につながりました。


過去2か年にわたって順調に増加してきたNICsの輸出ですが、87年央以降では国・地域によってやや状況が異なってきています。


韓国、香港、シンガポールの輸出が引き続き大幅な増加基調を維持している一方で、台湾では伸び率が鈍化してきています。


韓国などの通貨調整が緩やかなテンポで行われているのに対して、新台湾元の対ドルレートが87年中
急速に上昇したことなどが主因と考えられます。


特に、繊維、衣類、玩具、履物といった、価格競争力に強く依存する製品での鈍化が顕著なのです。


これらの製品は、より労働コスト面で安価な、また台湾に比べ通貨が割安なタイ、インドネシア、マレーシア等の国の追い上げを受けているものと思われ、タイの繊維・同製品の輸出は、86年央から増加傾向にあります。


しかし、87年に入ってからは増加テンポが更に高まってきています。


こうした動きについてはプロダクト・サイクルによる面もあるでしょうが、為替の変化が加速させた面も大きいと考えられます。

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