アメリカの経済事情 7
こうした通貨変動の中で、これまでのアジアNICsの輸出増加の背景であった賃金水準の動向にも変化が生じています。
86年の製造業賃金は、ドル建の比較では韓国、台湾が日本に比べ約1/5程度であり、アセアンに属するタイでは日本の約1/12程度でした。
87年の各国通貨建でみた賃金上昇率は、日本が微増であったのに対して、韓国、台湾では各々11.6%増、9.7%増と比較的高い伸びでした。
しかし、ドル建では前述のような為替動向から、台湾が約30%の上昇となり、韓国は日本とほぼ同程度の約20%の上昇となりました。
また、タイでは韓国、台湾より賃金上昇率は低かったとみられ、タイ・バーツの対ドルレート上昇も小幅(87年4.2%)であったことから、ドル建賃金でも韓国、台湾より低い上昇率にとどまったと考えられます。
この結果、ドル建賃金は、日本と台湾間では若干縮小したものの、韓国との格差は縮小しませんでした。
また、タイとの比較では、韓国、台湾とも拡大したとみられます。
次に、生産性をも考慮した単位労働コストの推移をみると、81年以降87年に至るまで、自国通貨建では台湾が最も高く、次いで日本、韓国となっています。
賃金上昇率は韓国が台湾をわずかに上回っているものの両者に大差はなく、むしろ生産性に差があります。